ちいさな植物園

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zoom RSS ドラマの結末

<<   作成日時 : 2009/05/31 22:51   >>

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 雨降りの夜が明けると、いくつもこんなものが…。田を囲んだ石垣に、モリアオガエルの産卵。卵白を泡立てて砂糖を入れ泡が消えないようにしたメレンゲと同じで、弾力があって壊れることがないしっかりしたかたさがある。
 今回はそのモリアオガエルを襲った、悲劇のお話。

 夕方というには少し早い時間、ふと足元を見ると、まだあまり大きく成長していないヤマカガシ(ヘビ)が1匹。ちょっと様子がおかしいと思ったら、頭の部分が異様に変形している。よくよく見ると、自分より数倍大きなモリアオガエルのオスを足のほうから飲み込もうとしている真っ最中。カエルの上半身とヘビの大きく外れたようなあごが合体しているから、見た目が変になるというわけで…。しかし、野次馬の私たち2名の気配を感じたか、するんとカエルを吐き出してその場をヘビは離れたのだった。

 「食事の邪魔をして申し訳なかったな。」と思いつつも、モリアオガエルはすっかり足を伸ばした格好で哀れにも捨てられてしまった。「どうせ死ぬのならきれいに食べられた方が、命を失ったのにも甲斐があるというものだろうに。」そう考えながら、その場を離れた。そのとき、カエルのなきがらは確かにあぜ道からも離れた、陸の上にあったのだった。

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 しばらくして戻ると、畦道でとんでもない光景が繰り広げられていた。あの、死んでいるはずのカエルが畦から宙吊りになっていたのだ。モリアオガエルは手足を伸ばすと10センチ程度の大きさがあるので、遠目にも割と目立つ。いったいなぜ…?
 近づいてみて、びっくり。畦の上では先の小さなヤマカガシがカエルの頭をくわえている。そして水路では、サワガニがカエルの足先をくわえて猛烈な力で引っ張る。哀れ、カエルは上下から引かれて、まるで生きているかのように宙吊り。当事者たちは必死だろうが、余りにも意外な展開に、見物人の我々は大爆笑。カニの力も相当なもので、小さなヘビではなかなか決着がつかない。カニは水路のくぼみにカエルをどんどんと引きずり込み、ヘビは右往左往しながらそれを阻止。「ヘビににらまれたカエル」とは言うだろうが、カニとヘビの間には、本来関係はあっただろうか…。
 ヘビといっても30センチほどの子ども。結末はというと、力尽きたかくわえた口をしばらくして離してしまったのだった。獲物を勝ち取ったカニは、カエルの足先をくわえたまま水路のくぼみに引き込み、モリアオガエルはちょうどくぼみから顔を出しているかのように鎮座。カエルには気の毒だが、頭と足をカニとヘビが綱引きする格好となり、なんとも珍しい光景を見ることができた。
 大きな獲物を奪われた子ヘビは、その後も畦の上を下を行ったり来たり。ヘビの執念というか、あきらめきれないという様子でうろうろしていたものの、どうしても力では太刀打ちできず、結局どこかへと去っていった。

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 さて、夕闇も迫る頃。やや時間が経って、まさかとは思いつつ、くだんの現場を覗くと…。
 ドラマは更に続いていたのだった。何があったのかはわからない。くぼみの奥に収まりきらなかったカエルは、確かに頭を出していた。しかし今、ゆうゆうと頭をくわえたヘビがそれを運んでいくのだ。しかも、そのまま腹に収めようとしている。でも、ヘビ君よ。君の小さな頭では、いくらあごをはずして飲み込むのが特技だとしても、カエルを頭から飲み込むのは無理だと思うんだけど…。せめて初めに狙ったときのように、もう一度落ち着いて体制を整えて、足元からありついたほうが、いいんじゃないのかな…?(写真はヘビにくわえられたカエル)
 翌朝、そこにはそんなドラマの痕跡はどこにも残っていなかった。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ドラマと言えるドラマですね。アフリカのライオンとシマウマだけが演じている訳ではないですね。
我が家の浮舟箱の雨水の中にはアマガエルのオタマジャクシが泳いでいます。それが、どの箱にも10〜20匹づつ分けられて入っているのですよ。母カエルの努力には感心してしまいます。
東谷山のお猿そん
2009/06/03 15:01
こんにちは。
長いお話を読んでくださって、ありがとうございました。こんな田舎の何もないところでも、時にはこのようなドラマがあるのです。畳一枚分ぐらいの、ですけれどね。たとえ話にもされるように、やはりカエルやヘビには事件がつきもののようで、こんな他愛もない小さな事件をこれからも追いかけていきたいと思っています。
カエルたちはどうして水溜りの大きさや樹下の水の有無がわかるのでしょうね。モリアオガエルでも感心することがあります。本能、と片付けがたい母心を感じます。
東谷山のお猿さんへ
2009/06/04 10:33
モリアオガエルは悲惨な目に遭ったものです。
私がカエルだったら、ヤマカガシをあの世で相当恨んでいる事でしょう(笑)。
生きるというのは大変な事ですね。何はともあれ、自分の惨めな姿だけは、さらしたくないものです。
カエル君、ガンバレ!
庭花
2009/06/04 15:59
この光景を見ていて、どれだけ「ヘビを助けてやりたい」と思ったことでしょう。でも、獲物をつかんだカニに比べたら、ヘビの方は人の気配に敏感で口にした獲物を手放してでも逃げていきます。それが助けなかった1番の理由でした。
たぶんこのあと、すっかりモリアオガエル君はヘビに飲み込まれたことでしょう。きれいに食べてくれなかったら、そのときは私だって初めに命をとったヘビを恨むでしょうね。子孫を残すためのメスの争奪戦があったであろう後の、更なる生存競争。厳しいものです。カエル君たちを応援しながら、私たちもがんばりましょう。
庭花さんへ
2009/06/04 17:11
カエルって、そんな泡の中に卵を産み付けるんですか!
知らなかったです。
ちゃぱす☆彡
2009/06/05 07:13
こんにちは。
これでは大きさがわかりませんね。大人の両手ですくうサイズです。下が水辺の木の枝など空中にも産み付けられます。水中よりも安全ということでしょうか。乾燥防止を兼ねたゆりかごです。中でおたまじゃくしに育ち、普通のカエルの卵と同様、泳げる大きさまで成長すると水へと落ちていきます。
ちゃぱす☆彡 さんへ
2009/06/05 19:20
「カエルたちはどうして水溜りの大きさや樹下の水の有無がわかるのでしょうね。」
お猿さんは思います。人間はお金があれば当分の間生活して行けるので「鈍感になっている」と。
田舎の美味しい空気と都会のまずい空気の差。晴れた日の空気と雨が近付いて来る時の湿った空気の差。冬の空気と夏の空気の差。など違いの分かる人が少なくなっていると思います。お猿さんは雨の降る前に山羊さんを小屋へ入れなくてはいけないので雲の動きと空気の湿気が気になります。人間の何☆倍も敏感なカエルの能力がうらやましです。
サギソウ用の水溜箱も800箱もあれば一つの池と同じぐらいの水気を発していると思います。それでアマガエルさんたちが我が畑へ来てくれるのではないかと。
東谷山のお猿さん
2009/06/05 21:13
こんばんは、でしょうか。以前、田んぼの上に枝を長く張り出したクルミの木がありました。ところどころ枯れて腐り、折れる危険があったのでその枝は伐られましたが、小さながけの上にある田んぼより低いところ(川沿いなので川原)から生えていた木でした。かつてここで紹介した写真はそこでの産卵の様子だったのですが、どこからどうやって登り、下には冷たい水の流れる川や石ころでなく田んぼがある、と見極めたカエルたちの行動に、いたく感動したのでした。雨が降る前には必ず同じ方向が暗くなるし、雨の音や匂いがします。こちらから都市部に出て行くと、コノハズクの○○寺山や紅葉の○○渓で空気の味と温度が変わるのを感じます。人間でもこれぐらいわかるのですから、生きものたちの生存を賭けた感知能力は想像を超えるでしょうね。お猿さんのところのサギソウ箱も、いまやかつてあった湿地を再現するものになっているのでしょう。生き物たちが訪ねてきてくれるようになれば、嬉しいし本物ですね。
東谷山のお猿さんへ
2009/06/06 12:22

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